韓国の3~8歳の痙直型脳性麻痺児における咀嚼機能と無意味1音節の発話明瞭度との関連を検討した.対象は25例の痙直型脳性麻痺児.咀嚼機能は,プレスピーチ機能の正常・異常の両面の評価のためのガイドラインと得点化の手続きが示されているPre-Speech Assessment Scale(PSAS)の,“biting”と“chewing”の領域を用いて評価され,異なった固さの食物を咀嚼しているときの発語器官の動きが観察された.発話明瞭度は子音-母音(CV)音節の産生時のそれが評価された.その結果,(1)正常咀嚼得点と発話明瞭度得点との間には有意な正の相関が認められ,(2)異常咀嚼得点と発話明瞭度得点との間には有意な負の相関が認められた.これは,発話を伴わない発語器官の動きがスピーチの機能と有意に関連するという先行研究に一致した.本研究の知見は,スピーチ動作と非スピーチ動作の運動コントロールの観点から論じられ,その臨床への応用が示唆された.