2010 年 37 巻 4 号 p. 469-477
動脈硬化を体表エコーで評価する場合,現在最も普及しているのは頸動脈エコーである.頸動脈エコーでは内膜中膜複合体の厚さ(intima-media thickness: IMT)を計測し,動脈硬化を評価する方法が主流であり,多くの研究にも応用されている.しかし,動脈硬化(Atheroscleorsis)はAtheorosisとSclerosisに分かれIMTは前者の指標にすぎない.Sclerosisは血管の固さの指標であり,臨床的にはstiffness parameter βがよく用いられている.超音波法,特に頸動脈エコーに代表される体表エコーでは,このAtherosisの指標IMTとSclerosisの指標stiffness parameter βを非侵襲的にほぼ同時に評価でき,動脈硬化の診断に非常に有用な情報を与えてくれる.また,体表エコーは動脈硬化の診断だけでなく治療のtoolとしても無くてはならないものとなってきている.末梢動脈インターベンション(PPI)では冠動脈インターベンション時の血管内超音波と同様の情報を体表エコーで評価し得る.体表エコーを駆使してPPIを施行すると造影剤腎症の予防にも繋がって成功率を上げることができ被曝時間の短縮,手技時間の短縮など種々の臨床的有用性が望まれる.体表エコーガイド下PPIは臨症上非常に有用な方法と考えられる.