心身医学
Online ISSN : 2189-5996
Print ISSN : 0385-0307
ISSN-L : 0385-0307
56 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
巻頭言
特集/行動医学のコアカリキュラム
  • 中尾 睦宏
    2016 年 56 巻 1 号 p. 12
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー
  • 野村 忍
    2016 年 56 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー
    行動医学の草創期は, 「タイプA行動パターンと心筋梗塞」の研究がメインテーマであった. その後, 行動変容が種々の慢性疾患の治療に広く応用されるようになり, 今日の行動医学の概念が形成されることとなった. 日本行動医学会では, 行動科学・行動医学コアカリキュラムを策定するとともに, それに準拠した「行動医学テキスト」を刊行することとなった. 本書は, 行動医学の基礎と臨床すべてがわかる入門書であり, 実際の臨床の場で活用できるマニュアルとして編集されている. 本書が, 行動医学の発展ならびに, 医療の質・患者のQOLの向上に貢献できることを願っている. 本稿では, 行動医学の歴史を振り返りながら, 今後の展望について私見を交えて論考した.
  • 堤 明純
    2016 年 56 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー
    背景 : わが国の医学教育において行動科学・行動医学に関する体系的な教育はなされていない.  方法 : 日本行動医学会に設置されたワーキンググループにおいて, コンテンツの抽出, 関連学会との合同シンポジウムと研修会, アウトカムの設定と学習モデュールの考案を経て, 行動科学・行動医学のコアカリキュラムを開発した.  結果 : カリキュラムが目指すアウトカムと, 11単元の講義と4単元の実習からなる学習モデュールを提案した.  結論 : わが国の医学部学生に求めるミニマム・リクワイヤメントをまとめた. 今後重視される参加型臨床実習などにおいて, 知識や技能のみならず態度面も形成できる評価法も備えたカリキュラムに発展させていく必要がある.
  • 島津 明人
    2016 年 56 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー
    本稿では, 日本行動医学会が推奨する行動科学コアカリキュラムについて, 心理学の立場から考察し, このカリキュラムを医学部および健康・保健・医療に関連する学部で効果的に実施するためのポイントについて言及した. 最初に, 心理学の立場からコアカリキュラムの内容を概観し, カリキュラムの内容は大きく基礎的内容と応用的内容とに分けられること, 基礎的内容は心理学の多様な領域と密接に関連していることを明らかにした. そのうえで, カリキュラムを効果的に実施するためのポイントとして, ①行動科学に関する基礎的内容 (理論) を伝える際には, その意義を十分に受講生に伝え, 学習への動機づけを高めること, ②受講者の自己効力感を高め, 授業で学んだ知識やスキルの活用を積極的に促すための工夫を行うこと, の2点を指摘した.
  • 井上 茂
    2016 年 56 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー
    医学教育の国際標準化を契機に行動科学への関心が高まっている. 現在, 日本の医学教育の指針となっている「医学教育モデル・コア・カリキュラム (文部科学省)」や「医師国家試験出題基準 (厚生労働省)」には体系立った行動科学の項目は含まれないが, 前者ではその心理学的側面に関するキーワードが, 後者では臨床医学・心身医学的側面に関するキーワードが多く認められる. 一方, 今回発表された国際基準では, 行動科学が社会医学とともに大項目の1つとして位置づけられている. 患者, 地域住民の健康問題の解決に心理社会的要因を重視する行動科学のアプローチは公衆衛生学的アプローチに通ずる部分が大きく, 行動科学教育の発展が, 医師の公衆衛生マインドの涵養に役立つものと期待できる.
  • 竹内 武昭
    2016 年 56 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー
    行動医学は医療教育において重要であり, 発展の期待できる分野である.  帝京大学大学院は国際基準必須の5分野 (「行動医学」, 「生物統計学」, 「疫学」, 「環境・産業保健学」, 「保健政策管理学」) のカリキュラムをもっている.  行動医学は一般集団の心理状態について取り扱う部分が多く, 非医療系の大学卒業者の医療への入り口としての役割をもつ. 一方で行動医学を医学部に導入する際は, 一般集団と病的集団の違いに注意をする. 授業は実践的な理解が必要なため, TBLや4C/IDなどの授業形態が望ましい.  行動医学と心身医学は類似点が多く, 行動医学の担当者として心療内科医は最も適正の高い人材群であるといえる.
  • 吉内 一浩
    2016 年 56 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー
    日本行動医学会の行動医学コアカリキュラム作成ワーキンググループによって提案されたカリキュラムの項目の多くは, 心療内科関連の専門医の研修カリキュラムによってカバーされており, 今後, ますます増える, 医学部における行動医学教育に対するニーズに, 心療内科医が十分に応えることができると考えられる.
資料論文
  • —対応に苦慮した症例を踏まえて—
    坊 裕美, 端詰 勝敬, 天野 雄一, 坪井 康次
    2016 年 56 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー
    目的 : 当科では, 外来・入院診療とともに兼科 (併診) 対応の依頼を受けた他科入院患者の精神面のケアを行っている. 今回われわれは2011年1月~2012年12月に兼科対応を行った患者についてカルテをもとに調査・検討を行ったため, 実際に介入困難であった症例を踏まえて報告する.  結果 : 2年間で兼科対応症例は29例であり2006年度1年間での106例から大幅に減少した. 理由として2009年に緩和ケアセンターが設立されたことが挙げられる. 悪性腫瘍患者の場合, 緩和ケアセンターも介入を行っている症例は2年間を通して31%であった.  考察 : 緩和ケアセンター設立後, 悪性腫瘍患者の兼科対応数は大幅に減少したが介入依頼は依然として多く存在し, 緩和ケアセンターと併診するケースも少なくない. 心療内科の役割として, 患者・家族の心理的サポートのみならず, 主科・他科併診科との連携を密にし, チーム全体の中での適切な介入ポイントを検討する必要がある.
症例研究
  • 松岡 美樹子, 原島 沙季, 米田 良, 柴山 修, 大谷 真, 堀江 武, 山家 典子, 榧野 真美, 瀧本 禎之, 吉内 一浩
    2016 年 56 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー
    近年, 摂食障害と発達障害との関連が指摘されている. 今回, 発達障害の合併が疑われ, 知能検査の施行が治療方針変更の良いきっかけとなった1例を経験したので報告する. 症例は32歳女性. X−21年に過食を開始し, 過食, 自己誘発性嘔吐や食事制限, 下剤の乱用により, 体重は大きく変動した. X−6年に神経性過食症と診断され, 入退院を繰り返した. X年に2型糖尿病に伴う血糖コントロールの悪化をきっかけに食事量が著明に低下し, 1日数十回の嘔吐を認め, 当科第11回入院となった. 生育歴やこれまでの経過から, 何らかの発達障害の合併が疑われたため, ウェクスラー成人知能検査を施行した. その結果, 動作性IQが言語性IQに比して有意に低値であり, 注意欠陥多動性障害を疑う所見も認められた. 退院後atomoxetineを開始したところ, 過食・嘔吐の頻度が週に1, 2回程度に減少し, その後も安定した状態を維持している.
地方会抄録
feedback
Top