日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
総説
Ca2+シグナル異常によるPodocyte傷害メカニズム
-新たな蛋白尿治療戦略の開発に向けて-
神田 祥一郎張田 豊
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 24 巻 2 号 p. 187-197

詳細
抄録

 Ca2+はさまざまな細胞応答において重要な役割を果たしている一方で,細胞内Ca2+濃度の時間空間的な制御異常は細胞障害,細胞死を引き起こす。糸球体上皮細胞 (Podocyte) は糸球体濾過バリアとして必須の役割を担っているが,この細胞に発現するCa2+チャネルの異常により蛋白尿を生じることなどからCa2+シグナル異常がpodocyteの形態変化を引き起こすことが明らかになってきた。
 AngiotensinIIはpodocyteに対して直接作用し,この細胞の生存,形態の維持に関与している。その機序としてAngiotensinII受容体刺激の下流でTRPC6を介した細胞内へのCa2+の流入と,その結果としてcalcineurin-NFAT経路の活性化が明らかになってきた。podocyteにおけるCa2+シグナルについて概説し,その修飾による蛋白尿治療の可能性について議論する。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top