日本臨床外科学会雑誌
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症例
自然縮小傾向をみた横行結腸間膜Castleman病の1例
山口 圭三緒方 裕村上 直孝山口 倫松本 敦白水 和雄
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キーワード: Castleman病, 腸間膜腫瘍, 乳癌
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2012 年 73 巻 1 号 p. 170-176

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抄録

症例は73歳,女性.2002年10月,乳癌(T1 N1 stageII)の診断にて乳房切除術を受けた.外来経過観察中,2005年3月の腹部CT検査で偶然腹腔内腫瘤を指摘された.腫瘤は40×30mm大で内部は比較的均一だが一部に線状の造影効果を認め,CT所見からはmalignant lymphomaやGISTなどが疑われた.ガリウムシンチでは腫瘤への集積はなかった.2カ月後のCTでは腫瘤は38×20mm大と縮小しており,経過と画像所見から悪性疾患は否定的であったが,本人と家族の希望があり同年5月に開腹腫瘤摘出術を施行した.横行結腸間膜由来の腫瘤で,周囲との癒着を認めたが腸管切除を行わずに腫瘤摘出が可能であった.病理組織所見で腫瘤はリンパ節構造を有し,周囲の硝子化した結合織とリンパ濾胞の著明な過形成像を示し,部分的に胚中心と周囲マントル帯を貫くように硝子化した血管が存在した.hyaline-vascular typeのCastleman病と診断された.術後6年を経過して再発を認めていない.

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© 2012 日本臨床外科学会
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