日本臨床麻酔学会誌
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—日本臨床麻酔学会第25回大会 学術講演—
術後脳障害を知るスキルと防ぐスキル
後藤 倶子
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2006 年 26 巻 5 号 p. 467-473

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抄録

  高齢化社会の到来に加え, 手術手技や麻酔管理の向上により高齢者の手術は増加し, 術後脳障害も増加していると考えられる. 術後脳障害を予防するには脳梗塞の病型や病態を勘案して周術期管理計画を立案することが重要である. 脳血管障害の既往を有する患者の術後再発率は高く, 術前評価や厳重な循環管理, 発生機序に応じた治療が必要である. 脳梗塞の多くは血栓や塞栓による脳動脈の閉塞によって生じることや, 術後の凝固能亢進により血栓形成が加速されることから, 抗血栓療法や脳灌流圧の適正な維持が重要である. 周術期管理を行う麻酔科医には脳虚血の予知や脳蘇生などの重要な役割があり, 頭部, 頸部における動脈硬化の診断や全身管理のスキルが求められる.

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© 2006 日本臨床麻酔学会
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