日本臨床麻酔学会誌
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—日本臨床麻酔学会第26回大会 シンポジウム—帯状疱疹の予防と治療はどこまで進んでいるのか?
帯状疱疹後神経痛の多面的治療はここまで進んでいる
田邉 豊森田 善仁中村 吉孝稲田 英一
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2008 年 28 巻 1 号 p. 19-30

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抄録

  帯状疱疹後神経痛 (PHN) は, 多面的治療, すなわち種々の治療法を組み合わせた治療がなされているが, 依然, 難治性である. 当科において発症から3ヵ月以降に初診となった帯状疱疹後痛58症例を検討した. 発症3~5ヵ月 (帯状疱疹後痛) は12症例, 発症6ヵ月以降 (PHN) は46症例であった. 治療により帯状疱疹後痛は7症例 (58.3%) , PHNでは14症例 (30.4%) で疼痛の軽減を認め, 前者では5症例 (41.7%) , 後者では6症例 (13.0%) で治療を終了できた. 多くの症例で神経ブロックを主体とした治療を施行していた. 一方, 受診までに多面的治療を受けてきた症例, 来院しなくなる症例や侵襲的な治療を望まない症例も多く, 多面的治療を施行するうえでの限界も示唆された. またPHNに対する種々の治療法から, 薬物療法以外の主に神経ブロック治療, 高周波熱凝固療法と硬膜外脊髄電気刺激療法の治療効果について考察した. 高周波熱凝固療法や硬膜外脊髄電気刺激療法では, 効果が得られる症例もあるが, 長期予後も含めてさらなる検討が必要である. 現在, 施行されている治療法のなかで格段に進歩しているものは見当たらない. 単一の治療法ではなく, 薬物療法を主体とした効果が得られると思われる種々の治療法を組み合わせた多面的な治療が施行されているのが現状であり, 症例のADLやQOLの維持・向上を目指した治療法を選択していくことが重要となっている. PHNの病態がさらに解明され, 個々の治療法についてもさらなる検討がなされていくことが望まれる.

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© 2008 日本臨床麻酔学会
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