酸性雨の影響等による水質変化を的確に捉えその現象を解明するためには,水質の連続観測データが必要となる.pHと電気伝導率(EC)は水質の代表的な指標であるが,特にpHの連続観測は測定が難しいため行われてこなかった.本研究では,pHの連続観測手法の確立を目的に,岐阜県伊自良湖流入河川の伊自良川で,pHとECについて,2001年から4年間の長期間にわたり河川水中にセンサーを設置して連続観測を行った.連続観測によるpH値と採水した試水のpH測定値では異なっていたが,試水のpH測定値を用いて連続観測データを補正することで,降雨時を含めた長期間のpHの変化を連続的に観測することができた.ただし,降雨時にpHが低下した後の上昇時には,連続観測値に一時間程度の遅れが生じていた.ECは,補正することなく連続観測が可能であった.降雨時には,他の渓流河川での観測と同様に流量増加時のpHとECの低下,流量減少時の上昇が見られ,この変化を短い時間間隔で観測することができた.融雪時には,pHの低下に対してECが上昇する傾向も見られ,降雨時とは流出パターンが異なり,降雨時よりも複雑な反応が生じている可能性が示唆された.