2011 年 22 巻 3 号 p. 225-230
食品廃棄物は飼肥料としての利用に加えて,バイオマスエネルギー原料としても利用可能な有機物が豊富であるが,廃棄物系バイオマスの中で最も利活用されていない。そこで食品廃棄物から燃料または肥料として利用可能な炭の作成に関して検討を行うため,ここでは,食品廃棄物の熱分解特性を熱重量 (TG) の計測と示差熱分析 (DTA) を同時に行うことができる熱分析機器を用いて調べた。また熱分解によって発生するガスを同定するためTG-DTA/MSとTG-DSC/FTIRを用いて測定した。その結果,酸化熱分解は3段階の重量減少と2つの顕著な発熱ピークを発生させた。一方無酸素下での熱分解は2段階の重量減少を示したが顕著な発熱ピークは発生しなかった。主な発生ガスはH2O,COおよびCO2であり,ガス成分の発生ピークの特徴は擬似Air下と無酸素下で異なった。