日本小児外科学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下腸回転異常症根治術後に発症した十二指腸狭窄に内視鏡下バルーン拡張が有効であった1例
大島 一夫渡邉 芳夫高須 英見住田 亙小松崎 尚子
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2016 年 52 巻 1 号 p. 108-112

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抄録

症例は7 歳男児.5 歳時より繰り返す腹痛嘔吐あり,症状の改善なく当院紹介受診した.腹部超音波および上部消化管造影検査で腸回転異常症と診断した.腹腔鏡下の観察で,盲腸は後腹膜に固定されておらず,Ladd 靭帯が形成され,Treitz 靭帯は正中寄りに偏位していた.非定型的腸回転異常症と診断し,Ladd 靭帯を切離,十二指腸と結腸間膜の間を剥離,開大してnon rotation の形にした.腸管固定術は行わず,術後癒着防止材も使用しなかった.術後7 日で経口摂取良好となり退院したが,術後10 日より腹痛嘔吐が出現した.上部消化管造影検査で十二指腸に通過障害を認め,術後の癒着による狭窄を疑った.消化管内視鏡下で狭窄を確認し,バルーン拡張を12 mm 径まで施行した.拡張後は症状消失し,食欲も初回手術前より増加した.以後症状の再燃を認めていない.腸回転異常症術後早期の癒着による十二指腸狭窄に対し,バルーン拡張が有用であったので報告する.

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