2016 年 38 巻 5 号 p. 410-414
背景.気管支動脈瘤は喀血の原因になるが,特に小さな末梢病変では時に部位診断に難渋することがある.症例.84歳男性.5年前に喀血にて他院に救急搬送されたが,その際には原因は特定できなかった.3年7か月前に再喀血(2回目)があり,かかりつけ医を受診.CTにて右S2に区域性の浸潤影を認め,当科紹介.極細径気管支鏡を用いて観察したところ,右B2biiβに1 mm程度の表面平滑な拍動性の隆起性病変を認め,周囲に血餅が付着しており,気管支動脈瘤による喀血と診断した.2か月前に再喀血(3回目)あり.CTでは気管支動脈瘤を指摘できなかった.気管支動脈造影では動脈瘤を指摘することはできなかったが,右気管支動脈塞栓術を施行した.結論.自験例では6次分枝に位置するような1 mm大という非常に小さな病変であったが,極細径気管支鏡を用いたことで診断することができた.