日本血栓止血学会誌
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原 著
化膿性股関節炎の術後重篤な出血をきたし,インヒビターが一過性に出現した異常第VIII因子(Thr1774Asn)を有する軽症血友病A(CRM+)の一例
三浦 明伊藤 俊広嶋 緑倫稲葉 浩福武 勝幸新井 盛大鈴木 宗三石川 正明酒井 秀章
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2009 年 20 巻 1 号 p. 56-65

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抄録

過去に股関節手術を行い,多量出血を認めた患者の左化膿性股関節炎の術前検査で,APTTが53.8秒と延長し,第VIII因子活性は72%,von Willebrand因子抗原は326%と乖離が見られた.APTT延長を説明できる原因は他になく,骨掻爬術を施行したが,大量出血し出血性ショックとなった.遺伝子組み換え第VIII因子製剤3000単位静注により,APTTは短縮し,止血された.1ヵ月後にインヒビターが発生したが,遺伝子組み換え活性型第VII因子製剤に変更後,インヒビターは自然消滅した.凝固能が安定した状態でも第VIII因子活性は 50%前後で同抗原の半分以下と乖離していた.遺伝子検査にて,第VIII因子のエクソン16にcytosineがadenineに置換される塩基配列異常を認め,1774番のthreonineがasparagineに置換した異常第VIII因子を有する軽症血友病A(CRM+)と診断した.

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© 2009 日本血栓止血学会
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