日本輸血細胞治療学会誌
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原著
市販輸液製剤の混合物である新たな洗浄置換液(M-sol)による血小板の保存
平山 順一東 寛藤原 満博秋野 光明本間 稚広山本 定光加藤 俊明池田 久實
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2008 年 54 巻 1 号 p. 17-22

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抄録

血小板製剤による輸血副作用を発症する患者に対し,洗浄置換血小板(W/R-PC)を使用する場合がある.我が国では数種類の洗浄置換液が使用されているが,血小板の保存性能などを詳細に検討した報告はほとんどなく,W/R-PCの有効期限なども統一されていない.最近われわれは血小板保存性能の優れた洗浄置換液(M-sol)が市販輸液製剤のみで調製できることを明らかにした.本研究では現在我が国で広く使用されている洗浄置換液3種とM-solについて血小板保存性能の比較検討を行った.さらにM-solの液状での保存方法についても検討を行った.
M-sol,ブドウ糖加酢酸リンゲルを主とする液,生理食塩水+ACD-A,冷凍血液洗浄用液3号+ACD-AによりW/R-PCを96時間まで保存した.測定項目であるpH, Pセレクチン陽性率,%HSR,%Disk, MPV,凝集能,グルコース,乳酸の数値から判断すると,洗浄置換後6時間以内ならばいずれの洗浄置換液中でも血小板機能は良好であったが,24時間を超えて保存する場合はM-solの場合のみ通常のPCと同等もしくはそれ以上の機能が維持されていた.またM-solの液状保存に関しては,アルミ蒸着した袋を用いて4℃で静置することにより,少なくとも3カ月間安定に保存できることが明らかになった.

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© 2008 日本輸血・細胞治療学会
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