日本輸血細胞治療学会誌
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原著
洗浄・置換血小板に用いる洗浄置換液(M-sol)の製造と保存
秋野 光明平山 順一田村 暁内藤 友紀勝又 雅子本間 稚広藤原 満博東 寛加藤 俊明池田 久實
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2010 年 56 巻 3 号 p. 365-372

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抄録

洗浄・置換血小板(W/R-PC)は血小板製剤による輸血副作用を防止する目的で調製されている.我々は血小板製剤の洗浄および置換には臨床使用が認められた輸液および電解質溶液を混和させることで製造される洗浄置換液(M-sol)を用いている.M-solの製造はクリーンルームにて用時行っているが,本研究では以下の二点を中心に製造方法の改良を行った.1)除菌フィルター付バッグを使用することで,クリーンルーム外での製造を可能とした.2)調製したM-solはアルミ蒸着袋に真空保存することで,pHを一定に保つことが可能となり最短でも1年間の保存が可能であった.さらに我々はW/R-PC 1バッグ分のM-solを製造する方法(単品式)と一度に多量のM-solを製造する方法(多量式)を考案し,両法によるM-solに差がないことを確認した.真空包装したM-solは30℃で1年間保存してもpHに変化はなかった.さらに,製造直後のM-solと長期保存したM-solにより調製された置換PC(R-PC)には血小板機能に差はみられなかった.また,長距離輸送したM-solを用いて調製した洗浄PC(W-PC)についても,血小板への影響はみられなかった.改良された方法ではM-solの製造時間に制限されずにW/R-PCの調製が可能となるであろう.

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© 2010 日本輸血・細胞治療学会
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