日本輸血細胞治療学会誌
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速報
2011年度日本の輸血管理体制および血液製剤使用実態調査報告
牧野 茂義田中 朝志紀野 修一津野 寛和佐川 公矯高橋 孝喜
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2012 年 58 巻 6 号 p. 774-781

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抄録

2011年調査は,日赤より輸血用血液製剤が供給された10,428施設(東日本大震災の被災地である東北4県を除く)に対し実施され4,322施設(41.4%)から回答が得られた.輸血管理体制の整備は,300床以上の医療施設では,輸血責任医師の任命以外は90%以上の整備率であり,ほぼ達成されていたが,小規模医療施設では50~70%の整備率であり,過去3年間はほとんど変化がなかった.特に輸血責任医師の任命は51.8%と低かった.2011年は病床当たりの各血液製剤使用量は横ばいもしくは微増程度であった.安全な輸血医療の実施のためにコンピューターシステムの導入率は,大規模医療施設では輸血時の携帯端末の使用が69.17%以外は,80%以上の利用率であったが,小規模医療施設ではいずれのステップも20%以下の利用に止まっていた.赤血球輸血を1日10単位以上実施した症例は,詳細調査回答施設の50.8%(382施設)で存在し,そこで使用された赤血球製剤は全体の15.95%,血漿製剤は28.58%を占めていた.国内自給率が2%と低い抗HBs人免疫グロブリンの使用目的は,血液汚染事故後のB型肝炎発症予防や母子感染予防が多かったが,使用量は肝移植後の肝炎発症予防が多く,総投与量の60.83%が使用されていた.

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© 2012 日本輸血・細胞治療学会
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