Journal of Neuroendovascular Therapy
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原著
脳動脈瘤コイル塞栓術におけるコンピューターシミュレーター(VIST)を用いた技能分析
入江 恵子中居 康展中原 一郎廣瀬 雄一根來 眞
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 6 巻 4 号 p. 252-257

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抄録

【目的】ISAT(International Subarachnoid Hemorrhage Aneurysm Trial)の報告以降,破裂脳動脈瘤に対してコイル塞栓術が第1選択の治療法として行われる機会が増えている.しかし,脳動脈瘤の診断は,3次元画像診断を主とした低侵襲診断が普及し,脳血管撮影を行う機会が減少している.また,脳動脈瘤コイル塞栓術は,施設によって治療症例数が異なり,治療の安全性を高めるためにもoff the jobのトレーニングが不可欠である.近年,高度のコンピューターシミュレーターが開発され,臨場感あふれるシミュレーションが可能になっている.そこで,脳動脈瘤コイル塞栓術においてコンピューターシミュレーターVIST(Vascular Interventional Simulation Trainer,Mentice Corporation Sweden)を用いてハンズオントレーニングを行い,実際の血管内治療の経験と技能判定の各種パラメーターとの関係を検討した.【対象および方法】VISTを用いたハンズオンを受講した22名を対象とした.コンピューター内に組み込まれている脳底動脈先端部動脈瘤を用い,コイル塞栓術を行った.技能判定のパラメーターとして,1)全手技に必要とした時間,2)使用造影剤量,3)全透視時間,4)使用コイル数,5)塞栓率(VER)%を検討した.日常診療における脳動脈瘤塞栓術の治療経験数がA群20例以下の12名とB群21例以上の10名に分類し,パラメーターをもとに両群を比較検討した.【結果】平均塞栓率はA群36.4%,B群47.0%(p≦0.01)であり,日常診療における脳動脈瘤塞栓術の治療経験数が多いほどVISTで良好な塞栓率(VER)%が得られる傾向が認められた.【結論および考察】実臨床での経験数が多いことがシミュレーターにおいてVER高値として反映された.脳動脈瘤コイル塞栓術におけるコンピューターシミュレーター(VIST)を用いたハンズオンは受講者のスキルを判定できるだけでなく,繰り返し行うことより実症例における手技の向上にも繋がることが期待できる.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会

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