自然言語処理
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日本語機能表現の自動検出と統計的係り受け解析への応用
注連 隆夫土屋 雅稔松吉 俊宇津呂 武仁佐藤 理史
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2007 年 14 巻 5 号 p. 167-197

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抄録

日本語には, 「にあたって」や「をめぐって」のように, 2つ以上の語から構成され, 全体として1つの機能的な意味をもつ機能表現という表現が存在する.一方, この機能表現に対して, それと同一表記をとり, 内容的な意味をもつ表現が存在することがある.そして, この表現が存在することによって, 機能表現の検出は困難であり, 機能表現を正しく検出できる機能表現検出器が必要とされている.そこで, 本論文では, 日本語機能表現を機械学習を用いて検出する手法を提案する.提案手法では, Support Vector Machine (SVM) を用いたチャンカーYam Chaを利用して, 形態素解析結果を入力とする機能表現検出器を構築する.具体的には, 形態素解析によって得られる形態素の情報と, 機能表現を構成している形態素の数の情報, 機能表現中における形態素の位置情報, 機能表現の前後の文脈の情報を学習・解析に使用することにより, F値で約93%という高精度の検出器を実現した.さらに, 本論文では, 機能表現検出器の解析結果を入力として, 機能表現を考慮した係り受け解析器を提案する.提案手法では, Support Vector Machine (SVM) に基づく統計的係り受け解析手法を利用して, 機能表現を考慮した係り受け解析器を構築する.具体的には, 京都テキストコーパスに対して, 機能表現の情報を人手で付与し, 機能表現の情報を基に文節の区切りや係り先の情報を機能表現を考慮したものに変換した.そして, SVMに基づく統計的係り受け解析の学習・解析ツールCabo Chaを用いて, 変i換したデータを学習し, 機能表現を考慮した係り受け解析を実現した.評価実験では, 従来の係り受け解析手法よりもよい性能を示すことができた.

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