日本神経回路学会誌
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解説
ダイナミッククランプ法を用いて神経回路網を操作する
井上 剛井本 敬二
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2008 年 15 巻 2 号 p. 117-125

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抄録

局所神経回路(local circuit)における信号処理は,そのシナプス配線図(synaptic wiring diagram)に強く依存する.すなわち,その構造(シナプス配線図)と機能(信号処理)の関係を明らかにすることは,局所神経回路を理解する上で必須である.この問題にアプローチするため,現在我々は「ハイブリッド神経回路」の構築に取り組んでいる.このハイブリッド神経回路とは,脳スライス標本からの「多細胞パッチクランプ記録」に,ダイナミッククランプ法による「人工シナプス」を組み込む手法である.この手法を用いると,研究者が神経配線図を自由に操作することができるため,任意の神経配線図が持つ信号処理能力を調べることが可能となる.本稿では,ダイナミッククランプ法に関して概説した後,我々のハイブリッド神経回路に関して紹介する.

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© 2008 日本神経回路学会
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