原子力バックエンド研究
Online ISSN : 2186-7135
Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
21 巻, 2 号
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研究論文
  • 前田 敏克, 渡辺 幸一, 大森 弘幸, 坂巻 景子, 稲垣 八穂広, 出光 一哉
    2014 年 21 巻 2 号 p. 63-74
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/01/31
    ジャーナル フリー
     地層処分場で使用されるセメント系材料を起源とするカルシウムに富む環境や鉄製オーバーパックの存在がガラス固化体の溶解/変質挙動に及ぼす影響を調べるため,模擬ガラス固化体を用いて,CaCl2/Ca(OH)2溶液中や鉄を共存させた条件における静的浸出試験を行った.
     pH6から11のCaCl2/Ca(OH)2溶液中では,脱イオン水中に比べて,試験期間をとおしてガラス固化体の溶解/変質は抑制された.初期pH12に調整したCa(OH)2溶液中では,初期においてはガラス固化体の速い溶解/変質が見られたものの,溶解/変質にともない生成したカルシウムケイ酸塩にガラス固化体表面が覆われることによって溶解/変質速度は低下した.
     鉄が共存する条件では,試験期間をとおしてガラス固化体の溶解/変質が促進された.ガラス固化体表面と鉄との境界には鉄とケイ素を含む変質層が形成されており,熱力学的計算によると,浸出液は鉄ケイ酸塩が生成しやすい環境であることがわかった.このことから,鉄共存下では,ガラス固化体の網目構成元素であるケイ素が消費され鉄ケイ酸塩を生成することによって,ガラス固化体の溶解/変質が促進される可能性があると推察された.
  • 羽柴 公博, 福井 勝則, 杉田 裕, 真田 昌慶
    2014 年 21 巻 2 号 p. 75-82
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/01/31
    ジャーナル フリー
     珪藻土や,それが変成作用により岩石化した珪質岩は,北海道から秋田県,能登半島,隠岐諸島へかけて日本海側に広く分布しており,珪質岩の岩盤中に構造物を建設する際には,その力学特性を把握しておく必要がある.本研究では,北海道天塩郡幌延町の地下深部に分布する珪質岩である稚内層珪質泥岩を用いて,一軸圧縮試験,圧裂引張試験,乾燥収縮試験,時間依存性挙動と強度回復特性を調べる試験を行った.その結果,変形・破壊特性におよぼす水分の影響が大きく,試験室の標準的な環境下で乾燥させるだけで,最大で0.9%程度の軸方向の収縮歪が生じ,強度が2倍程度になることがわかった.時間依存性挙動と強度回復特性に関しては,岩石としては標準的な特性を持っていることがわかった.
技術報告
  • 中島 均, 齋藤 亮, 石井 卓
    2014 年 21 巻 2 号 p. 83-94
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/01/31
    ジャーナル フリー
     放射性廃棄物処分施設において緩衝材の周囲に施工上生じるすき間は,適切に埋め戻されることが重要である.すき間を充てんする材料として,ベントナイトを粒状体に加工したベントナイトペレットが期待されている.すき間の充てん密度を高めるためには,ペレット自体の密度が高いことが有利である.粉体ベントナイトを圧縮してペレットを製造すると,圧縮力に応じて密度が高いベントナイトペレットが製造できるが,形状や製造の容易性の観点で改善の余地があった.著者らは,乾燥収縮を利用してベントナイトペレットを製造する新たな方法を考えた.水分が多く可塑性がある状態で球形のベントナイトペレットが製造できることを確認した.続いて,乾燥条件を工夫することで乾燥収縮により乾燥密度2.0Mg/m3程度の比較的密度の高いベントナイトペレットが製造できることを明らかにした.
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