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医療情報基盤としての電子カルテシステム整備の重要性 勤務医に対するアンケート結果を通じて
伊藤 裕子
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2012 年 55 巻 9 号 p. 647-661

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抄録

電子カルテのような医療における情報基盤の整備は,国民に対する質の高い医療の提供のために国家政策として10年以上行われてきたが,まだ不十分である。本稿では,「病院内の電子カルテなどの医療情報基盤の整備の有無」に何が関連するのかを検証するため,勤務医を対象にしたアンケート調査(2010年実施)の結果を再分析した。その結果,病院における電子カルテなどの医療情報基盤の整備の状況は,病院の規模や開設主体によって差があることが示唆された。現在,医療情報基盤の整備が進んでいる病院は,経費の問題もあるため中規模以上の病院であるが,日本の病院の8割以上は小規模病院である。今後,病院内の電子カルテなどの医療情報基盤の整備を進めるためには,学術情報に関して一部で既に実施されているように,地域内の複数の医療機関が連携することによって経費を分担することや,地方および国の行政が医療情報基盤整備のために経済的な支援をすることが必要と考えられる。

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