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メンタルコミットロボット「パロ」の開発と普及:認知症等の非薬物療法のイノベーション
柴田 崇徳
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2017 年 60 巻 4 号 p. 217-228

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抄録

アニマル・セラピーを参考に開発されたアザラシ型ロボット「パロ」は,米国では「神経学的セラピー用医療機器」の承認を得た初めての医療ロボットで,認知症,発達障害,精神障害,PTSD,脳機能障害,がん患者等を対象として,30か国・地域以上で約5,000体が利用されている。世界各地での治験等により,パロとの触れ合いが,人の気分を向上させ,不安,うつ,痛み,孤独感を改善することが示された。認知症者の場合には,徘徊,暴力・暴言等の問題行動を抑制・緩和する。また昼間に傾眠する人がパロと触れ合うと覚醒し,夜間によく眠れ,昼夜逆転を改善,夜間の起き出しを減らす。これらは介護者の負担を軽減し,転倒等のリスクを低減する。さらに副作用がない「非薬物療法」として,各種抗精神病薬の投薬を低減する,全く新しい医療福祉サービスである。

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© 2017 Japan Science and Technology Agency
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