2012 年 47 巻 3 号 p. 967-972
近年、地域の防犯活動において、大学生を中心とした学生ボランティアの存在が注目されている。本研究では、大学等が主催した防犯まちづくりを目的とするくらがり調査、公園の空間構成及び周辺環境の実態調査を事例に、子ども対象事案の発生要因及び保護者の犯罪不安要因を把握するとともに、屋外環境改善の要点を明らかにする。そのうえで大学立地という地域特性を活かした防犯まちづくりの方策と大学の役割について、実践的に考察することを目的としている。その結果、1)保護者が持つ利用時の不安要因として樹木の繁茂や遊具による死角、園内または周辺に人がいないことによる監視性の低さが把握された。2)防犯面からみた公園内の照度環境改善においては、暗さのみならず、照度の「ムラ」に着目した対策の重要性が示唆された。3)警察が公開している犯罪発生箇所の物理的な情報の認識向上を促す必要性を把握した。4)大学が関連主体間を繋ぐ触媒としての役割を担う重要性が示唆された。