2017 年 52 巻 1 号 p. 63-71
本論文は既存の都市評価指標との比較検討を通じて、筆者らが開発してきた都市のサステイナビリティ評価指標(City Sustainability Index、CSI)の枠組みを提示する。既存の指標には歴史的背景の違いにより3つの系譜があるが、いずれも都市のサステイナビリティを評価する上での要件を明示していない。そこで(1)「強いサステイナビリティ」への立脚、(2)絶対評価と相対評価の区別、(3)都市の漏出効果の考慮、という3つの要件を明確化し、「制約指標」と「最大化指標」という二種類の指標を備えたCSIの概念枠組みについて論じる。これに基づいて構築したCSIのプロトタイプを用い、18のメガシティを対象にした評価結果を提示する。既存の指標と比較すると、CSIには地球環境と社会・経済的な公平性に関するサステイナビリティを絶対的に評価できる利点がある。一方、政策評価の枠組みが備わっていないという限界が明らかになり、この点について補完手法の開発が必要である。