Journal of Pesticide Science
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Diaporthe citri の各器官中に吸収されたCu2+イオンと発芽ならびに侵入阻害との関係
銅剤の Diaporthe citri に対する阻害様式に関する研究 (第2報)
伴野 広太郎有本 裕本間 保男見里 朝正
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1981 年 6 巻 3 号 p. 337-340

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抄録

前報において, 塩基性硫酸銅のカンキツ黒点病菌に対する生育阻害作用は, 塩基性硫酸銅の濃度よりもCu2+イオン濃度に依存しているということが示された. さらに, Cu2+イオンの菌体中への吸収量と発育阻害作用との間に正の相関関係があるかどうかを明らかにする目的で, 電子プローブX線マイクロアナライザーを用い, カンキツ黒点病菌の各器官中に吸収されたCu2+イオンの量を測定した. 発芽を阻害された胞子では, 阻害されなかった胞子の約1.6倍の銅が検出された. 侵入を阻害された菌糸では, 阻害されなかった菌糸の約4.3倍の銅が検出された. このように, 発芽および侵入を阻害された胞子や菌糸は, 阻害されていない場合よりも銅含有量が多く, カンキツ黒点病菌のCu2+イオン吸収量とその阻害作用との間に正の相関関係がみられた. さらに, 発芽を阻害された胞子は, 侵入を阻害された菌糸よりも多くの銅を吸収していた. このことは, 無機銅剤が胞子発芽 (pH6における50%阻害Cu2+イオン濃度: 4.2×10-5M) よりも菌糸侵入 (1.2×10-5M) をより低い濃度で阻害するという前報の観察結果と一致した.

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© 日本農薬学会
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