Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
燃料電池への応用を志向したn-ブタンの酸化改質に用いるコールドスタートプロセスの開発
永岡 勝俊 佐藤 勝俊
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2015 年 58 巻 5 号 p. 274-284

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抄録

Redox能を有する担体にRhを担持した触媒を用いることで,炭化水素の酸化改質による水素製造反応のコールドスタートプロセスの構築に成功した。このプロセスは還元した触媒の酸化により発生した熱で,触媒を常温から酸化改質の反応開始温度まで急速に加熱することで,結果的に酸化改質を常温から駆動するものである。873 Kで水素処理したRh/CeO2ではn-ブタンの酸化改質の常温駆動が可能であったが,還元態の常温での再酸化性に劣るRh/Pr6O11とRh/Tb4O7では常温駆動ができなかった。そのため,このプロセスに用いる触媒の担体には還元性はもちろんのこと,常温での酸化性が強く求められることが明らかとなった。そこで,低温での酸化還元特性に優れたCe0.5Zr0.5O2をRh触媒の担体に用いたところ,373 Kでの還元,および酸化改質の生成物である水素によるin-situ還元によって担体が還元され,熱損失の起こる非断熱条件であっても,繰り返しの常温駆動が可能となった。この新規酸化改質プロセスは新世代の自立型燃料電池の実現に寄与するものであると期待される。

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