石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
残油処理用FCC触媒の細孔構造と残さ油の分解特性
佐藤 周三盛本 康之高塚 透橋本 英夫
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 29 巻 1 号 p. 60-65

詳細
抄録

残油FCC触媒を選定する際の指針を得る目的で, 残油を分解した時の生成物の選択性と触媒の性状との関係について検討した。スチーム処理により疑似平衡化した三種類の市販触媒についてパイロットテストを実施した結果, 生成物の選択性には触媒マトリックスの細孔分布が大きく影響していることが明らかになった。これは, 残さ留分の分解は, 液状でマトリックスの細孔内に拡散し, 細孔表面上で比較的小さな分子へ予備分解したのちに, ゼオライト上で最終生成物へと分解するためである。残油FCCにおいては, 原料油の残さ留分の平均分子サイズに対応した細孔径範囲に多くの細孔が分布しているような触媒を選定する必要がある。

著者関連情報
© 公益社団法人石油学会
前の記事 次の記事
feedback
Top