日本泌尿器科学会雑誌
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腎に転移を来した混合型肝癌の1例
福島 真紀子磯山 栄子盛谷 直之實松 宏巳門脇 浩幸平川 真治宮川 征男
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キーワード: 転移性腎腫瘍, 肝癌
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1996 年 87 巻 3 号 p. 710-713

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抄録

症例は52歳男性. 肉眼的血尿にて近医受診, 超音波検査にて肝転移を伴った右腎細胞癌を疑われ当科紹介入院となった. 入院時の血液検査所見で軽度貧血, ALP, LAP,γ-GTP, CEA, CA19-9の上昇, 超音波検査・腹部CT検査で右腎腫瘍と多発性肝腫瘍を認めた. 更に血管造影・経皮的針生検等の諸検査を行った結果, 肝転移を伴った右腎細胞癌 (T2N2M1V0) と診断した. 治療として動脈塞栓術, インターフェロンα投与を施行したが入院2ヵ月目に肝不全の為死亡した. 剖検にて, 組織学的に肝腫瘍は肝細胞癌と胆管細胞癌の混合型肝癌と診断し, 腎腫瘍も肝腫瘍と同様の組織学的所見を示し肝癌の腎転移と判断した. 我々が調べ得た限りでは, 肝癌の腎転移の症例報告は本邦では過去1例のみであり, 本症例が本邦2例目に当たると考えられた.

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