2014 年 58 巻 4 号 p. 253-259
ロータリダイヤモンドドレッサを用いてトラバース方式によりドレッシングする場合について,砥石の表層を均質な連続体と仮定し,幾何学的に得られるドレッシング軌跡を砥石作業面に転写することにより砥石作業面を創成する手法を提案し,角柱ダイヤモンドロータリドレッサの場合について砥石作業面粗さに及ぼすドレッシング条件の影響を検討した.その結果,1)ドレッシングにともなう砥石作業面の最大高さ粗さの変化を追跡することによって,砥石作業面の全領域がドレッシングされるための条件,すなわち,片側1回ドレッシングにおけるドレッサ送り速度および両側切込み往復ドレッシングにおけるドレッシング回数を把握することができること,2)両側切込み往復ドレッシングを行う際,アップカットの場合にはロータリドレッサと砥石の接触開始点の影響がほとんどなく,一定の砥石作業面が得られること,ダウンカットの場合にはロータリドレッサと砥石の接触開始点の違いが砥石作業面に大きく影響するため,不安定なドレッシング性能を示すこと,が明らかとなった.