日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
25 巻, 2 号
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  • 加藤 忠史
    2014 年 25 巻 2 号 p. 59
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 川人 光男
    2014 年 25 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    安静時脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で計測し,多数の脳領域間の機能的結合を時間相関から推定することができる。この機能結合に疾患特異的なパターンが現れることが明らかになり,それに基づいたバイオマーカーが複数の精神疾患に対して開発されている。しかし,従来のバイオマーカーは単一施設にのみ有効であった。L1 正則化正準相関分析とスパースロジスティック回帰を組み合わせることで,多数の施設で汎化が可能なバイオマーカーが開発できる。このバイオマーカーは健常型と疾患型の 2 つの脳機能ネットワークの分類器といえる。このバイオマーカーを筆者らが開発したデコーディッドニューロフィードバック法と組み合わせると,ネットワークを健常型に近づける全く新しいタイプの治療法が構成できる。
  • 茶木 茂之, Dario Doller, Jeffrey Conn, Andrzej Pilc
    2014 年 25 巻 2 号 p. 65-68
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,グルタミン酸神経機能異常が統合失調症およびうつ病の病因である可能性が示唆され,グルタミン酸神経系をターゲットとした創薬が注目されている。グルタミン酸受容体の中で,代謝型グルタミン酸(mGlu)受容体は,受容体サブタイプ選択的なリガンドを用いた薬理研究および受容体の脳内分布などから,統合失調症およびうつ病との関連が示唆されている。特に,mGlu2/3 受容体および mGlu5 受容体はこれら精神疾患治療の有用なターゲットとなり得ることが前臨床および臨床の結果から期待されている。さらに,最近の薬理研究の結果から,mGlu4 受容体の統合失調症への関与も示唆されている。  本シンポジウムにおいて,上記 mGlu 受容体リガンドの統合失調症治療薬およびうつ病治療薬としての可能性を主に前臨床研究の結果を基にご紹介頂いた。
  • 住吉 太幹
    2014 年 25 巻 2 号 p. 69-73
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    非定型抗精神病薬(atypical antipsychotic drugs,AAPDs)の統合失調症の認知機能障害(cognitive impairment in schizophrenia,CIS)への有効性については意見が分かれているが,一部の患者においては AAPDs 投与により特定の認知機能が向上する。また,基礎研究の分野では AAPDs の認知機能増強作用を支持する知見が多く,セロトニン受容体サブタイプへの比較的強い親和性や,代謝性グルタミン酸受容体を含む種々の受容体への作用が関連するとされる。AAPDs への反応についての患者の多様性,転帰を左右する認知機能領域,モデル動物を用いた CIS 改善に関連する神経生物学的基盤などのさらなる検討が今後の課題となろう。本シンポジウムでは,CIS 治療法の開発についての最新の知見が,イタリア,米国,日本の研究者により提示された。
  • Yeni Kim, Bung─Nyun Kim, 加藤 進昌
    2014 年 25 巻 2 号 p. 74-78
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    シンポジウム「What are the effects of environment and epigenetics in cognitive development of children ?」は,4 名のシンポジストが講演し,それぞれの発表について活発な討論が行われた。S- Y Bhang らは,アジア圏では初めての胎児性アルコール症候群(FAS)の疫学調査を韓国で行った。はじめに FAS の病態について,動物実験と臨床報告から概説し,児に与える広範で深刻な影響について発表した。自験例として 12 歳の男児について詳しく報告した。この男児は当初 ADHD(注意欠陥多動性障害)と診断されるような症状を示し,知的障害,小頭症,成長遅延を伴っていた。疫学調査では,7,785 名の学童を対象に身体的ならびに神経精神医学的検査によって 0.28%に FAS が見られたのに対して,知的障害を伴うハイリスク児童 87 名では 14.9%にみられたと報告した。この罹患率は,韓国よりも女性のアルコール摂取がより一般的と考えられる欧米での結果と同程度であり,FAS に対するより一層の認識がアジア諸国でも必要であると強調した。Y. Kim らは,内分泌かく乱物質や重金属の胎内暴露が,児の認知機能の発達に与える影響を概観し,特に bisphenol A,フタル酸,カドミウム,水銀の影響を詳しく紹介した。彼らは動物実験によって,bisphenol A がヒストンのメチル化を通じてエピジェネティクスに影響を与えて認知機能の発達を阻害すること,特に NMDA 受容体とエストロジェン受容体に影響を及ぼし,脳の性分化や神経再生の異常をきたすことを明らかにした。脳の性分化に関してはフタル酸がエストロジェン受容体の遺伝子発現に与える影響が重要と報告した。特にカドミウムは酸化ストレスを促進することによって,自閉症などの発達障害をもたらす可能性を強調した。久保田らは,DNA 配列に影響しないで遺伝子発現に影響を与えるというエピジェネティクスの特徴は,環境と遺伝をつなぐキーの役目をしている可能性を,豊富な具体例を挙げながら概説した。どのような環境要因がエピジェネティクスに関係しているか,また,エピジェネティクスは可逆的な過程であるので,発達障害の中には治療可能な後天性(獲得性)の疾患もありうることを提示した。さらにこういった獲得性のエピジェネティックな変化は世代をこえて受け継がれることを指摘した。最後に,Xuらは脳の性分化が精神疾患の発症にいかに関わるかについて,環境物質の関与を想定した動物実験の結果からまとめた。自閉症と ADHD に代表される発達障害は,男性に圧倒的に多いことは広く知られているが,その理由はいまだによくわかっていない。一方で内分泌かく乱物質はオスのメス化 feminization をきたすことから有名になった物質である。この関連について,Xu らは bisphenol A の胎内暴露(ラットでは出生前後にあたる)が行動上でオスのメス化をきたすこと,その認知発達の様相は発達障害のそれに似ており,それにはエストロジェン受容体α(ERα)の遺伝子発現の異常が関係している可能性を,動物実験で明らかにした。以上の 4 演題についてシンポジウム会場で活発な討論が行われた。それぞれの講演内容のより詳しい Synopsis を以下に示す。
  • 大森 哲郎, 伊賀 淳一, 沼田 周助
    2014 年 25 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    うつ病の基盤には脳の機能変調が存在し,その影響は神経内分泌系,神経免疫系,自律神経系を通して全身に及んでいる。これらを利用したバイオマーカーの探索はこれまでも数多い。デキサメサゾン抑制試験や脳由来神経栄養因子(BDNF)濃度などは最も注目されてきた。しかし,いずれも臨床応用可能な感度と特異度が達成できていない。近年の革新的な方法論の進歩はこの現状を打破する可能性をもたらした。血中タンパク質,mRNA 発現量, DNA メチル化修飾あるいはマイクロ RNA 量などを網羅的に解析することが可能になり,複数測定値を組み合わせたバイオマーカーの開発が進められている。2013 年 6 月に京都で開催された世界生物学的精神医学会議におけるシンポジウムにおいて,血液をサンプルとする気分障害の診断マーカー研究の最新状況を,米国,イスラエル,日本からの 4 名の演者が発表した。いずれも斬新な研究であり,近い将来の診断マーカーとしての臨床応用を期待させるものである。
  • 油井 邦雄
    2014 年 25 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本シンポジウムでは細胞死にかかわるペプタイドに関わるミトコンドリアの障害と精神神経疾患との関連,およびそれらの治療的展開を検討した。ミトコンドリアの膜上に存在する translocator protein(TSPO)はアポトーシスに関わり,そのリガンドは神経疾患の治療や診断に有益である。パーキンソン病はミトコンドリアの機能障害であり,PINK1 酵素がParkin にswitch onしてリン酸を付加することで不良ミトコンドリアへ呼び寄せて発病に至る。正しくスイッチが入るようにして,不良ミトコンドリアを分解に導くことが治療につながる。 MK-801 はミトコンドリア機能保護作用があり,この統合失調症モデルは p70S6K-S6 の回路におけるタンパクの形成の障害によるので,治療的展開に利用し得る。酸化ストレスによる脂質の過酸化過程はミトコンドリアの機能障害を惹起し,また,シグナル伝達機能を損ない,自閉症スぺクトラムの病態要因になるので,antioxidant が治療的に有益である。
  • 疋田 貴俊
    2014 年 25 巻 2 号 p. 91-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    WFSBP2013Kyoto シンポジウム “Rodent models targeting specific neural circuits for the study of psychiatric disorder” において,神経回路を標的とした最先端の動物モデルを用いた精神疾患病態研究を紹介した。4 名の若手研究者がシンポジストとして,薬物依存症,ナルコレプシー,統合失調症,うつ病といった精神疾患を対象として,最先端の分子生物学的ツールを開発し,独自の精神疾患モデルマウスとその病態解析の進捗を発表した。本稿では各講演内容を関連文献とともに紹介する。これらの研究は精神疾患病態における神経回路異常という新たな視点を提供する。
  • 切原 賢治, 笠井 清登
    2014 年 25 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本シンポジウムは精神医学における脳波研究をテーマに4人のシンポジストが発表した。最初の発表は精神病の早期段階におけるミスマッチ陰性電位についての研究であり,逸脱刺激の種類によりミスマッチ陰性電位のバイオマーカーとしての特徴が異なることが報告された。二番目の発表は統合失調症の一群である Deficit syndrome の脳波研究であり,Deficit syndrome は単に重症の統合失調症ではなく,一つの臨床単位である可能性が示唆された。三番目の発表は意思決定における脳波研究であり,注意欠陥多動性障害や物質使用障害における意思決定の障害が事象関連電位や神経オシレーションを用いて示された。最後の発表はアットリスク精神状態を対象とした脳波研究であり,アットリスク精神状態から統合失調症へ移行することを予測する際にミスマッチ陰性電位と認知機能が有用であることが報告された。
  • 武田 雅俊, 森原 剛史
    2014 年 25 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    スペインの Ramón Cacabelos 博士により企画されたシンポジウム「中枢神経系疾患のファルマコゲノミクス」を担当した。このシンポジウムは,日本,中国,米国,スペインからの発表であり,中枢神経疾患の遺伝子研究の様々なアプローチについて検討された。ゲノミクス手法により集積されつつある膨大なデータをファルマコゲノミクスの観点から整理することにより,中枢神経系疾患に対する薬物療法が,副作用を避けてより有用なものとなり,個人個人の遺伝子データに基づいたパーソナライズされた薬剤療法の実用化に向けて研究が進められている。このような視点は,特に中枢神経薬剤について重要であり,患者個人のゲノムデータを知ったうえで,薬剤を選択し,薬剤の用量を決定するというファルマコゲノミクスに基づいた薬物療法が今後は推し進められていくだろう。
  • 堀川 英喜
    2014 年 25 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    「免疫系:脳と精神疾患の架け橋」と題したシンポジウムが開催され,筆者(堀川英喜)が座長を務めた。近年,精神疾患において免疫系の異常を報告する研究成果が数多く報告されている。当シンポジウムで各国の研究グループが各々の最近の実績を報告し,特に気分障害と神経免疫系の関連についてのデータが多数紹介された。第 1 シンポジストの Norbert Müller 博士(ドイツ)は「うつ病の炎症性バイオマーカー」という演題で,気分障害において異常値を示す各種炎症性サイトカイン・それらがセロトニン代謝系へ及ぼす影響や,抗炎症薬のうつ病に対する効果に関して最新の知見を紹介した。第 2 シンポジストの筆者は「うつ病とミクログリア:精神薬理学的知見から」という演題で,in vitro 実験系における抗うつ薬のミクログリア活性化調節作用を紹介した。この作用はセロトニントランスポーターに対する作用とは独立したものと考えられた。第 3 シンポジストの Castilla-Puentes 博士(アメリカ)はデータマイニングの手法を用いることにより,抗 TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)薬の治療を受けた患者において抑うつ症状や自殺企図のリスクが増大したという報告はないと発表した。第 4 シンポジストの Franco 博士(コロンビア)の発表は中止となった。以上の発表について討議が行われた。うつ病をはじめとする気分障害の病態はモノアミンの異常だけで説明するのは困難であり,その病態には多くの因子が関わると考えられる。その中でも神経免疫系は特に重要で,当シンポジウム「免疫系:脳と精神疾患の架け橋」が生物学と精神医学の架け橋となり,さらなる研究の進歩の契機となるよう期待される。
  • 橋本 謙二
    2014 年 25 巻 2 号 p. 109-112
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症の NMDA 受容体仮説は,幅広く受けられている。本シンポジウムでは,統合失調症の病態における NMDA 受容体の役割と新規治療ターゲットとしての NMDA 受容体の可能性について,4 人の講演内容をまとめた。
  • 木下 利彦
    2014 年 25 巻 2 号 p. 113
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 岡田 直大, 笠井 清登, 高橋 努, 鈴木 道雄, 橋本 亮太, 川上 憲人
    2014 年 25 巻 2 号 p. 115-117
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 岡田 直大, 笠井 清登, 高橋 努, 鈴木 道雄, 橋本 亮太, 亀山 知道, 平松 謙一, 斎藤 治, 丹羽 真一
    2014 年 25 巻 2 号 p. 118-119
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
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