土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
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和文論文
液体浸漬によるコンクリートの圧縮疲労強度低下に関するエネルギー的考察
尾上 幸造松下 博通
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2010 年 66 巻 2 号 p. 166-178

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抄録

 土木学会コンクリート標準示方書における設計疲労強度の算定式は,乾湿状態の影響を反映しているが,水以外の液体作用の影響については考慮されていない.したがって,絶えず海水と接する海洋コンクリート構造物や,凍結防止剤が浸透する床版コンクリートなどの疲労破壊に対する安全性については検討の余地を残しており,各種液体の浸漬により疲労強度が低下する機構を明らかにする必要がある.本論文では,繰返し圧縮応力を受けるコンクリートの疲労強度について供試体の変形特性ならびにエネルギー吸収特性の観点から検討し,浸漬液体の表面張力が高いほど界面エネルギーの低下によってサイクル毎のひずみ増加量が増大し,その結果として疲労寿命が低下することを示した.また,湿潤状態における標準圧縮強度を基準とした時間耐久線図を提案した.

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© 2010 社団法人 土木学会
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