2012 年 68 巻 7 号 p. III_471-III_482
近年,市民の水道離れが問題となっている.本研究では,市民の水道水に対する意識構造を明らかにすることを目的に,ライフスタイル・社会変化に起因する要因も含めた市民の水道水に対する評価に影響する各種要因について,因子分析と共分散構造分析を用いて検討した.その結果,飲用水としての満足度にはおいしさに対する満足度が,おいしさに対する満足度に対しては,カルキ臭に対する不安と安全性に対する満足度が寄与していることを明らかにした.また,ライフスタイル・社会変化に起因すると考えられる要因の影響は小さく,水道事業者が適切な対応策を講じることにより,市民の水道水に対する満足度は改善しうることを示した.