2013 年 69 巻 6 号 p. II_167-II_173
切捨間伐材のエネルギー利用は地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から重要であるが,現状では殆ど有効利用されていない.本研究では労働力確保の観点に着目し,建設業から林業への人材移転を想定したエネルギー利用促進の可能性及び人材移転の実現による切捨間伐材の集材・搬出可能量,エネルギー利用に伴うGHG削減効果と経済性を試算した.先ず,林業に類似するスキルを持つ建設業を移転元として検討するとともに,アンケート調査により林業で必要なスキルや資格を明らかにした.次に,人材移転に伴う集材・搬出作業の必要雇用労働者数と人材移転可能人員数を推計した.その結果,人材移転によりわが国の年間の切捨間伐材発生量の80%が集材・搬出可能となり,このときのGHG削減量は約2,430千t/年と試算された.