2012 年 68 巻 5 号 p. I_491-I_498
本論文では,都道府県及び指定都市等を対象としたアンケート調査等を基に,3412条例の指定状況や指定内容等の分析を行っている.その結果,3412条例は手続きの迅速化や簡素化を図る「定型開発型」の指定が多いものの,地域の実情に沿った「特別区域型」の指定を行う自治体もみられた.「特別区域型」は,既存集落や地域産業の活性化等を目的とし,定量的な基準に基づく区域指定や,地域特性に応じた建築物の用途を定める等,調整区域での計画的な規制・誘導を図る効果的な制度であることを明らかにした.一方,指定内容によってはスプロールの懸念や隣接市町村との土地利用規制の格差を生じる可能性があり,広域的な整合性を確保した調整区域の土地利用計画を示したうえで,3412条例を適切に運用していく必要があることを考察した.