2016 年 72 巻 5 号 p. I_1037-I_1045
滑走路を使用する連続した航空機間の最低間隔は,離陸と着陸,後方乱気流区分からみた機種の組み合わせ毎に異なるため,離着陸の順序付けが滑走路の処理容量に影響する.本研究では成田空港と羽田空港を対象に飛行軌跡データを用いて航空機の離着陸順序の実態と滑走路容量算定方式の離着陸順序の前提(ランダム発生)との乖離について分析を行った.その結果,成田空港においては1本の滑走路を離着陸共用で使用する場合に,処理効率の高い離着陸交互運用の発生確率がランダム仮定よりも有意に高く,羽田空港においても交差する滑走路において後方乱気流区分を考慮した離陸順序が処理効率の高い順序付けの発生確率がランダム値よりも同様に有意に高いことが分かった.最後に,これら乖離の実態を考慮した滑走路処理容量について考察を行った.