2014 年 70 巻 2 号 p. I_444-I_449
運動量保存則を用いて,浸水深,流速の関数として建物の単位幅当たりの津波波力の算定式が提案された.その関係式は,浸水深,フルード数および流向の関数としても表され,補正係数を用いることで実測の津波波力の合力を精度よく評価できることが示された.
建物の耐力Rおよび津波波力Fの確率密度関数がGauss分布に従うものとすると,それらの特性関数を利用して,性能関数Z=R-Fの確率分布関数が同じくGauss分布に従うことが示された.その関数を-∞から0まで積分することにより,破壊確率が容易に算定できることを示している.東北地方太平洋沖地震津波では,浸水深が2m以上で建物の全壊確率も大きく増加している傾向にあった.建物の耐力および津波波力の平均値および標準偏差を適切に設定して,建物の被害確率を算定して,よく一致することが示された.