2009 年 65 巻 1 号 p. 6-11
近年,GPS(Global Positing System)観測技術が急速に発達し,日本では国土地理院によるGPS連続観測システム網(GEONET)が整備されている.これに伴い,強震計に比べて長周期成分や大きな変位の補足に適したGPSが変位地震計として利用されつつある.本研究では,GPSを変位地震計として利用し,かつ,簡便に変位の時間的変化を測定する手法のための基礎的検討を行う.変位計測の簡略化のために本研究において提案する理論および手法の検証を行なうとともに,実地震時のデータに対して解析を行ない,GPSを用いた地震時変位の計測精度について議論する.その結果,現時点では,本研究で提案するような簡易な解析法では地震計として期待されるだけの十分な精度が得られず,その要因として今後検討すべき問題点を指摘するにとどまった.