2013 年 69 巻 4 号 p. I_742-I_749
高経年化した実在アーチダムにて常時微動および地震動の長期間にわたる連続観測が実施されている.この長期継続観測では天端上の2箇所に加速度計を設置し,ダム固有振動数とダム貯水位やダム堤体温度との関連性を調査することを目的としている.一方,アーチダム全体系の振動特性を把握して連続観測のベンチマーク資料とすることを目的に,連続観測とは別途にセンサーを高密度に配置して常時微動観測を短期間で実施した.本論文では,高密度なセンサー配置による常時微動観測結果から得られたアーチダム全体系の振動特性の把握と,それらを表現できる三次元有限要素モデルの作成により,微小振幅時におけるダム堤体コンクリートと基礎岩盤の物性値を同定した結果について述べる.