2014 年 70 巻 4 号 p. I_419-I_432
反重力すべり支承(以下,UPSS)は平面すべり部と斜めすべり部で構成されたすべり支承であり,斜めすべりにより復元力を発現する.復元力は位置エネルギーに起因し,履歴の基本骨格は斜面角度により一義的に決定され,非線形性が極めて大きいため卓越周期を特定することが難しい.本論文ではUPSS支承の周期特性を分散支承や免震支承と共に,最大応答変位より求めた固有周期,フーリエスペクトルおよびウェーブレット変換により求めた応答周期を比較し評価した.この結果,フーリエスペクトルおよびウェーブレット変換では応答周期の発現状態は概ね一致し,広い周期帯に分布することが明らかになった.さらに,ウェーブレット変換を用いれば時間軸に沿った応答周期の発現状態が明確になり,入力地震動や時刻によっても変化することが確認された.