2014 年 70 巻 4 号 p. I_469-I_486
既設吊橋の床組縦桁では,伸縮部からの漏水による損傷や活荷重の過積載と増加に起因して疲労損傷が顕在化している.この対策として,支承部のすべり機能および回転機能の確保と床組縦桁の連続化が有効である.連続化後の支承は,常時,風時および地震時に橋軸方向の移動が拘束されないように可動とし,床組縦桁・床版を補剛トラスから独立させて,床組縦桁・床版の慣性力を主塔とアンカレッジに受け持たせる.このため,床組縦桁端を主塔およびアンカレッジ部に制震ダンパーで連結し,地震時挙動を制御する.さらに,常時状態および地震時の挙動を安定させるために,床組縦桁端部と主塔およびアンカレッジとの間に弾性固定ケーブルを設置する.本論文では,ケーブル併用制震すべりシステムによる連続桁化と耐震性能について述べる.