2014 年 70 巻 4 号 p. I_89-I_100
個別要素法を用いて構造物の動的挙動を再現する際,減衰モデルは解析結果に影響を及ぼすが,適切な減衰モデルに関する検討は十分でない.個別要素法における減衰力としては,定式化上,要素重心に作用する減衰力と,要素間に作用する減衰力の2つの項を定義することができる.本研究では前者の減衰モデルとして,質量比例型減衰とlocal dampingを採用し,後者の減衰モデルとして,臨界減衰と瞬間剛性比例型減衰の2通りを想定した.これらを組み合わせることで,振動における減衰と,要素接触時の衝突エネルギーを吸収するための減衰の両方を表現できる3通りの減衰モデルを提案し,減衰のモデル化が自由振動応答,破壊挙動,崩壊挙動の解析結果に及ぼす影響について検討した.