2014 年 70 巻 4 号 p. I_991-I_1003
日本には,城壁,宅地,鉄道,道路等の伝統的な石積擁壁が膨大な数存在し,これまで地震の度に大きな被害を受けている.しかし,1995年の兵庫県南部地震以降,様々な構造物の耐震補強が進む中,地震時における石積擁壁の崩壊のメカニズムが不明であるため,耐震補強などの対策が未着手な状態にある.したがって,石積擁壁の地震時における崩壊のメカニズムを解明し,適正な耐震補強対策を適切に施す基準を作ることが急務とされている.そこで本論文では,擁壁の模型実験及び不連続変形法(DDA)を用いて崩壊メカニズムの解明を行った.