日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
総説 特集:自己免疫疾患の病態形成に関わる細胞・分子と臨床応用
B細胞
長谷川 稔
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 28 巻 5 号 p. 300-308

詳細
抄録

  近年の研究は,B細胞が自己抗体の産生,サイトカインの分泌,抗原提示,共刺激作用などを介して自己免疫とその発症に重要な役割を果たしていることを明らかにした.CD20に対するキメラモノクローナル抗体(リツキシマブ)が作成され,これを用いることにより,B細胞をターゲットとした選択的治療が可能になった.関節リウマチや全身性エリテマトーデスを含むいくつかの自己免疫疾患において,この抗体の有用性が続々と報告されてきている.リツキシマブは,B細胞を消失させることにより長い期間症状の寛解を誘導する.自己免疫におけるB細胞の役割を明らかにすることは,B細胞をターゲットとした治療の開発に重要である.また,逆にB細胞をターゲットとした実際の治療から,自己免疫の病態解明につながる鍵が得られる可能性がある.この総説では,自己免疫疾患におけるB細胞の役割に関する最新の研究知見とリツキシマブによる自己免疫疾患の治療効果を中心に概説する.

著者関連情報
© 2005 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top