日本臨床免疫学会会誌
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総説
メシル酸イマチニブの膠原病治療薬としての可能性
亀田 秀人
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2007 年 30 巻 3 号 p. 165-173

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抄録

  強皮症における血小板由来増殖因子(PDGF)受容体刺激抗体の発見をはじめとして,膠原病の様々な病態においてPDGFの関与が注目されている.メシル酸イマチニブは慢性骨髄性白血病や消化管間葉腫瘍(gastrointestinal stromal tomor : GIST)に対する耐用性の高い治療薬として広く用いられているが,transforming growth factor-βの作用に重要なc-AblやPDGF受容体の活性も阻害する.イマチニブは線維芽細胞やメサンギウム細胞,平滑筋細胞の活性化や増殖に対して強力な抑制作用を示す.副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬を中心とした治療に抵抗性であった様々な病態を,イマチニブなどによる間葉系細胞を標的とした新規治療ストラテジーにより克服しうる可能性が開けてきた.

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© 2007 日本臨床免疫学会
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