日本臨床免疫学会会誌
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総説
新しいタイプのヒト制御性T細胞(HOZOT)の発見と臨床応用
中村 修治
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2009 年 32 巻 4 号 p. 223-230

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抄録

  ヒトの臍帯血の細胞をマウスのストローマ細胞と共培養することにより従来知られていなかった種類の制御性T細胞(Treg)が誘導されることが明らかになった.HOZOTと命名されたこのT細胞には3つの大きな特徴がある.1つは誘導法でヒト臍帯血の単核球細胞をマウスストローマと共培養しxenogeneicな系を用いる点,2つめはCD4+CD8+のダブルポジティブの表現形を示す点,3つめはキラー活性,サプレッサー活性,ヘルパー活性をあわせ持つ多機能性である点である.HOZOTはアロMLR抑制機能をもつことからTregとして定義されたが表現型や免疫抑制作用機序などから従来のTregと異なっている.またマウスストローマに対してキラー活性を示すだけでなくヒトの大腸癌細胞などある種の腫瘍細胞に対してもキラー活性が判明した.また,HOZOTはサイトカイン産生という面からIL-10/RANTES/IL-8の高産生細胞として従来のT細胞と大きく異なる.これらの特徴のうち特に抗腫瘍活性とサプレッサー活性を同時にもつことから機能や分化への興味とともに臨床応用が期待される.

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© 2009 日本臨床免疫学会
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