日本臨床免疫学会会誌
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総説
IgG4関連疾患の診断マーカーと治療マーカーとしての血清IgG4値測定の有用性
山本 元久西本 憲弘田邉谷 徹也苗代 康可石上 敬介清水 悠以矢島 秀教松井 美琴子鈴木 知佐子高橋 裕樹今井 浩三篠村 恭久
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2012 年 35 巻 1 号 p. 30-37

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抄録

  IgG4関連疾患は,高IgG4血症と腫脹または肥厚を呈する臓器への著明なIgG4陽性形質細胞浸潤と線維化を特徴とする,慢性炎症性疾患である.代表的な疾患として,IgG4関連涙腺・唾液腺炎としてのミクリッツ病や自己免疫性膵炎(Type I)などが挙げられる.わが国では,2010年に血清IgG4測定が保険適応になり,高IgG4血症を契機に診断されるIgG4関連疾患の報告数が増加しているが,一方,IgG4関連疾患以外の疾患でも高値を呈し得ることが判明してきた.リウマチ性疾患領域ではChurg-Strauss症候群をはじめとする好酸球性疾患,稀に関節リウマチや全身性強皮症でも血清IgG4が高値を示す.一部の臨床の現場では混乱がみられるが,IgG4関連疾患の診断は血清所見のみではできず,組織および画像を含めた総合的な診断が必要であることを理解しなければならない.またIgG4関連疾患症例の治療経過を解析すると,血清IgG4値は治療効果を反映し,再燃を予測するマーカーにもなる可能性が明らかになった.ここではIgG4関連疾患の診断時および治療経過中の血清IgG4値測定の意義について,当科のデータを交え,詳述する.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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