2015 年 25 巻 2 号 p. 99-104
平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震により,電源開発株式会社の沼原発電所沼原ダムのアスファルト表面遮水壁に総延長1,547mのクラックが生じ,漏水量が急増した。現地の電力所,管轄する東日本支店(埼玉県)および本店(東京都)は対応を協議し,同日ダム水位の緊急低下を決定し,実行することによりダムの安全性を確保した。電源開発株式会社は,この災害対応の経験を共有するとともに,得られた教訓を今後の非常時対応に活かすことを目的として記録を作成した。本稿は,災害の概要,災害対応および得られた教訓について報告するものである。