日本透析医学会雑誌
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原著
自己血管内シャントにおける脱血不良発生と超音波検査における機能評価および形態評価との関連性
山本 裕也中村 順一中山 祐治日野 紘子角城 靖子
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2012 年 45 巻 11 号 p. 1021-1026

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抄録

【目的】自己血管内シャントに対する超音波検査から得られる各指標と脱血不良発生との関連を検討することを目的とした.【方法】2008年1月~2010年12月の間に超音波検査を施行した自己血管内シャントを有する患者374名(延べ検査回数1,096回)を対象とした.対象症例を脱血不良の有無により,脱血良好群と脱血不良群に分類した.上腕動脈血流量,血管抵抗指数および狭窄径におけるreceiver operating characteristic曲線を作製し,Youden indexを用いてカットオフ値を算出した.また,曲線下面積を算出し,各指標の診断能力を比較した.【結果】上腕動脈血流量,血管抵抗指数および狭窄径のreceiver operating characteristic分析において,カットオフ値はそれぞれ350mL/min,0.70,1.3mmであった.また,上腕動脈血流量,血管抵抗指数および狭窄径における曲線下面積はそれぞれ0.982,0.904,0.924であった.【考察】超音波検査によって得られる上腕動脈血流量,血管抵抗指数および狭窄径は,透析時の脱血不良発生と関連性が強い指標であると示唆された.とくに上腕動脈血流量は他の指標と比べて診断能力が高く,優れた指標である.

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© 2012 一般社団法人 日本透析医学会
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