2014 年 47 巻 12 号 p. 749-753
長期透析患者に発生した粘液管状紡錘細胞癌の1例を経験したので報告する. 患者は65歳男性, 1999年に糖尿病性腎症で血液透析導入. 2013年4月から肉眼的血尿が出現し10月の定期CTにて左腎腫瘍を指摘され当科紹介. CTでは左腎臓に65mmの腫瘤を認め, 傍大動脈リンパ節腫大も認めた. 左腎細胞癌 (cT1bN2M0) と診断し根治的左腎摘除術およびリンパ節郭清術を施行. 肉眼的に腫瘍の境界は明瞭で割面は黄褐色調であった. 組織学的に異型性の顕著な腫瘍細胞が管状~乳頭状構造を呈して浸潤性に増殖しており紡錘形細胞も混在していた. 免疫組織学的にはCK7 (+), CK34βE12 (-), vimentin (+), CD10 (+), P504S (+), TFE3 (-), CA9 (-) であり, Alcian blue染色で間質が陽性であった. 以上から粘液管状紡錘細胞癌と診断した. 現在術後6か月経過するが再発なく生存中である.