日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
院外心肺停止における声門上気道デバイス使用下でのEtCO2測定の意義
―自己心拍再開との関連についての前向き観察研究―
渡辺 徹瀧澤 栄史東田中 敏春廣瀬 保夫
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2015 年 18 巻 5 号 p. 624-628

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抄録

目的:院外心肺停止症例における声門上気道デバイス使用下での呼気終末二酸化炭素(end-tidal CO2,以下EtCO2)測定の臨床的意義を明らかにする。対象と方法:2011年10月1日から2012年9月30日までの1年間,新潟市における院外心肺停止症例でラリンゲルチューブ(laryngel tube,以下LT)が挿入された例を対象とした。救急車内収容時にEtCO2の測定を行い,測定時の心電図波形,自己心拍再開の有無などについて前方視的に検討した。結果:院外心肺停止症例数は869例,うちLT挿入例でEtCO2の測定を実施したのは160例。全測定例のEtCO2値(mmHg)は中央値で19,測定時の心電図波形別ではVF・PEA 群(n=35);25,Asystole群(n=125);17と,VF・PEA群で有意に高値であった(p<0.01)。自己心拍再開群(n=8)では53で,非自己心拍再開群(n=152)の18に比べて有意に高値であった(p<0.01)。結論:声門上気道デバイス使用下の院外心肺停止例においてEtCO2値は,ROSCの有無,心電図波形の有無と関連していた。声門上気道デバイス下でもEtCO2値は病態を反映し,EtCO2値が高値を示す場合は,ROSCの可能性が高いことが示唆された。

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© 2015 日本臨床救急医学会
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