日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
広域救急医療体制に支えられた地域救急医療の活性化
―医師派遣システムの日常活用による医療圏連携―
石井 一誠石井 圭亮山北 真也白石 晴士黒川 英次田邉 三思黒澤 慶子
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2015 年 18 巻 5 号 p. 638-644

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抄録

医師不足の深刻化により救急医療崩壊の危機に直面した地方小都市において,救急医療体制の立て直しは喫緊の課題である。われわれが救急医療の地域格差是正の鍵として挙げたのは“広域救急医療体制”と“医療圏連携”である。地元の消防機関と医療機関,大学病院との間での緊密な連携下に,ドクターヘリ・ドクターカーを完備した大学病院高度救命救急センターの医師派遣システムの有効活用による地域救急医療体制の再構築を進めた。救急要請に対するホットラインシステムと初期対応マニュアルの院内整備を行い,同時に,オーバートリアージを容認した救急現場からの早期情報提供による地元医療機関の受け入れ対応の迅速化を行った。大学病院からの専門医師派遣による病院前救急診療および病院支援体制の充実により,地元医療機関における救急車の受け入れは月平均23.2件から33.3件へ増加し,救急受け入れの不応需率は50%から30%へ減少した。

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© 2015 日本臨床救急医学会
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